リモート人材はマネジメントが難しい?即戦力を上手に活用するコツとは

スタッフを採用しようと思った時、同時に考える必要があるのが、採用した人材の育成やマネジメントです。
通常の出社スタッフを採用する場合も大切ですが、リモートスタッフの採用を考える上では、特に重要度が高くなります。

リモートワークは、仕事ぶりを直接目にする環境ではない中で、相手を信頼して仕事を任せることになります。
スムーズな業務遂行を実現するためには、人材育成が欠かせません。

しかし、中小企業やベンチャー企業では、教育にかけるだけの費用や時間、リソースが足りないということも多いでしょう。
また、中には「そもそも社内教育は想定していない」という企業もあります。
そのため、どうしても「入社したらすぐに仕事を頼める即戦力」を求める傾向が強くなりがちです。

当社でも、中小企業やベンチャー企業の社長様からご相談をいただきますが、多くの方が
「●●や■■ができる人、すぐに対応してもらえる人はいませんか」
とおっしゃいます。

「即戦力」をめぐって起こりがちなトラブル

そもそも「即戦力」というのは、どのようなことでしょうか。

これについての明確な定義はなく、基準は企業によって異なりますが、時として、「即戦力」というフィルターのもと、
「特に教えなくても、なんでもすぐに理解して、バリバリ仕事をしてくれる人」
と思い込み、過大な期待を抱いてしまうケースも多いのではないでしょうか。

もちろん、特定の分野の経験があったり、スキルを持っている人は、その仕事自体は問題なくこなすことができるでしょう。

しかし、どんなに社会人経験や同業界での経験があっても、新しい企業に入社した時点では「新人」です。
企業の社風や価値観、社内のルール、社内で使用するツールなどは、「即戦力」としての採用であっても、教育の必要があります。

このような初期教育を行わないまま、「即戦力」として仕事を任せてしまうと

「●●なんて常識なのに、そんなことも言わないと分からないの?」

「即戦力だと思っていたのに、●●というツールの使い方も知らないの?」

「即戦力だと思ったから、改善策の意見を求めたのに、的を射た意見が出てこないんだけど・・・」

というように、想定していた期待を下回るパフォーマンスを目の当たりにして落胆したり、当人を非難するといったトラブルに発展しがちです。
特にリモートワークの場合、相手の状況が把握できない分、この「裏切られた感」が強くなる傾向にあります。

これに対し、採用されたスタッフ側は

「この会社の常識は●●かもしれないけれど、今までは■■だった。
最初に言ってもらえれば●●にしたけれど、突然任されて、これが常識と言われても困る」

「少し説明してもらえれば使えると思うけれど、突然丸投げされても困惑する」

「企業理念や会社の方針など全く説明もないまま、部分的な作業だけを任せられているのに
突然、意見を求められても・・」

など、会社(上司)に対する不信感を強めていきます。
ここまで来てしまうと、信頼関係が崩壊してしまうため、もはやリモートワークは成立しません。

せっかくの「即戦力」なのに、適切な教育を怠り、マネジメントを間違えたばかりに、優秀な人材を有効活用できないまま契約終了となってしまった・・・
こんな残念な例も、実際には存在します。

「人材育成」「マネジメント」による満足度アップ

一方、リモートスタッフに対しても、人材育成やマネジメントにしっかり取り組んでいる企業は、スタッフの満足度が高く、定着率も高くなります。

例えば、企業からの評価が高く、「自発的にお仕事を進めてくれる」と評価されている在宅秘書さんからは、総じて下のような声を聞きます。

「社長が、定期的に方針や考えていることを伝えてくださるので、自分の業務で迷った時も立ち返ることができます。
そして、組織の一員であることを実感できます」

「業務の一環として、会社主催の講座に参加させていただきました。学ばせていただいたことを業務に活かし、還元していきます!」

質問に迅速に回答くださるなど、スムーズにコミュニケーションが取れるので、仕事が進めやすいです」

成果物を提出すると、必ず一言添えて返信してくださるので、とても励みになりますし、アドバイスも素直に受け止めることができます」

「人材育成」と聞くと、「研修は・・・」「カリキュラムは・・・」などと大きく構えてイメージしてしまいがちですが、上記のように、日々の社内マネジメントの一環でできることもたくさんあります。

些細なことかもしれませんが

  • 日々のやりとりでのちょっとした一言
  • 会社の方針などの共有
  • 定期的なミーティング
  • 雑談できる場(時間)の設定

など、できることから少しずつ取り入れてみると、変化が感じられるのではないでしょうか。

中小・ベンチャーならではの人材育成・マネジメントのメリット

新卒の人材育成は、まず「社会人とは」という意識づけから始まります。そのため、期間を設定した集合型の研修などが効果的です。
しかし中途採用では、そのあたりはすでに身につけているという前提なので、前述したような日々のマネジメントからスタートすることができます。

この場合、中小企業・ベンチャー企業ならではの大きなメリットがあります。

それは、中小やベンチャーでは、大企業に比べると社長や経営者層とスタッフの距離が近いため、方針や理念がストレートに伝わりやすいのです。
また、多数の新人を一度に迎えることも少ないので、一人のスタッフと向き合える時間が多くなります
このメリットは、リモートワークであっても変わりありません。

スタッフとしても、日々の業務の中で気づきや学びを得られ、会社へ通うことがなくても、自然と社内の風土になじんでいきます。
その中で、本来の業務スキルや過去の経験を、存分に発揮することができるのです。

このような利点を生かし、リモートスタッフの育成やマネジメントが行われている企業では、スタッフが社長の思いを汲み取り、先回りして業務を進めてくれている・・・といったこともよく聞かれる話です。

その結果、やる気のある優秀な人材が定着し、会社全体の成長にも貢献しています!