- 1. 「仕事に対する当たり前」は、人によって違う
- 2. 実際に寄せられる「秘書さんの戸惑い」
- 2.1. 自宅に商品を保管してほしいと言われた
- 2.2. 個人のSNSアカウントや電話番号を使って顧客対応をしてほしいと言われた
- 2.3. HPやブログなどに名前や顔を出してほしいと言われた
- 3. 「柔軟に働ける」と「いつでも対応できる」は違う
- 4. 採用時に大切な確認ポイントは「スキル」だけではありません
- 5. 採用後にも「確認する仕組み」が必要です
- 6. 私たちが「採用して終わり」にしない理由
- 7. 良い関係をつくるために、あえて「雑談」も大切に
- 8. リモート人材の採用で大切なのは「採用すること」だけではない
「人手が足りないので、事務や秘書業務を任せられる人を採用したい」
「社員を増やすほどではないけれど、社長自身が事務作業に時間を取られている」
「在宅で働いてくれる人材を活用して、業務を効率化したい」
こうした理由から、在宅で働く事務・秘書人材の採用を検討する企業が増えています。
実際、在宅で働く人材を上手に活用できれば
- フルタイムの業務量がなくても仕事を依頼できる
- 採用エリアを広げられる
- 出社を前提とした働き方では出会えなかった人材を採用できる
など、企業にとって多くのメリットがあります。
一方で、在宅秘書の採用・活用を始めた企業様から、こんなご相談をいただくことがあります。
「こちらとしては普通にお願いしたつもりですが、秘書さんが戸惑ってしまったようです」
「もっと柔軟に対応してもらえると思っていました」
「社長とスタッフとの間で、仕事に対する感覚が少し違うように感じます」
こうした行き違いの背景には、能力や人柄だけではなく、「これまでどのような環境で仕事をしてきたか」というバックグラウンドの違いが関係していることがあります。
「仕事に対する当たり前」は、人によって違う
経営者や社長は、日々さまざまなことを考えながら会社を動かしています。
売上や顧客、営業、採用、資金繰り、商品やサービスの改善、今後の事業展開など、常に複数の課題を抱えながら判断をしています。
そのため、仕事上の出来事に対して、
「これは今やっておいたほうがいい」
「これもついでにお願いしよう」
「状況に応じて柔軟に対応してもらえると助かる」
と考えることは、決して珍しいことではありません。
一方、これまで会社員として働いてきた在宅秘書の中には、経営層と直接やり取りする機会があまりなかった方もいます。
- 上司から指示を受け、その指示に沿って業務を進める
- 勤務時間と休日が決まっていて、その時間内に仕事をする
- 自分の担当範囲と、それ以外の仕事がある程度明確になっている
そうした環境で長く仕事をしてきた人にとって、経営者と直接やり取りしながら仕事を進めていくと、最初は少し戸惑う場合があります。
これは、どちらが正しい・間違っているという話ではありません。
「仕事に対する当たり前が違う」だけなのです。
そして、この違いを採用する側があらかじめ理解しているかどうかによって、リモート人材との関係づくりは大きく変わってきます。
実際に寄せられる「秘書さんの戸惑い」
私たちは、企業様だけでなく、在宅秘書からも日々さまざまな相談を受けています。
その中には、経営者側からすると特に問題なく感じるようなことでも、秘書側では「どうしたらいいのだろう?」と戸惑っているケースがあります。
例えば、これまでにあったのが次のような相談です。
自宅に商品を保管してほしいと言われた
「在宅勤務なので、自宅にある程度の荷物を置くことはできるだろう」
そう考えて依頼したとしても、秘書さん側からすると
「どのくらいの量になるのか」
「保管期間はどのくらいなのか」
「家のスペースをどこまで仕事に使うのか」
など、不安を感じることがあります。
個人のSNSアカウントや電話番号を使って顧客対応をしてほしいと言われた
企業側としては、すぐに対応できる方法として考えたのかもしれません。
しかし秘書さんからすると
「個人情報を仕事で使って大丈夫なのだろうか」
「プライベートとの区別はどうするのだろう」
と心配になることがあります。
HPやブログなどに名前や顔を出してほしいと言われた
企業の情報発信を担当してもらうために、スタッフ本人の名前や顔を掲載したいというケースもあります。
しかし、これも本人にとっては、単なる業務の一つではありません。
インターネット上に自分の情報が公開されることに抵抗を感じる人もいますし、「どこまで会社の一員として自分を出せばいいのか」と戸惑う人もいます。
また、在宅ワークならではの相談として、
「いつ業務指示が来るのか分からず、チャットのメッセージを確認したらすぐ対応しなければいけないように感じてしまう」
という声もあります。
経営者からすると、「手が空いたときに確認してもらえればいい」「ちょうど思いついたから、忘れないうちに連絡しておこう」という程度の認識だったとしても、受け取る側には「いつ連絡が来てもすぐ対応しなければならない」というプレッシャーとして伝わることがあります。
「柔軟に働ける」と「いつでも対応できる」は違う
リモート人材を活用する大きなメリットの一つが、柔軟な働き方です。
しかし、ここにも企業側とスタッフ側の認識の違いが生まれやすいポイントがあります。
在宅で働く人は、通勤時間がありません。
そのため、時間を有効に使えるというメリットがあります。
かといって、在宅勤務だから24時間仕事ができるというわけではありません。
仕事以外の時間には、家族との生活やプライベートの時間があります。
特に、これまで「勤務時間が決まった会社員」として働いてきた人にとっては、仕事とプライベートの境界線が曖昧になることにストレスを感じる場合があります。
大切なのは、企業側が「在宅だから柔軟に対応してもらえる」と考えることではなく、
「どこまでなら柔軟に対応できるのかを、最初にすり合わせておく」
ことです。
例えば、
- 通常の連絡は何時までに確認してもらうのか
- 急ぎの案件はどのようにして連絡するのか
- どの程度の緊急対応を想定しているのか
- 業務時間外に連絡する場合のルールをどうするか
などを決めておくだけでも、双方の安心感は大きく変わります。
採用時に大切な確認ポイントは「スキル」だけではありません
リモート人材を採用するとき、「パソコンが使えるか」「事務経験があるか」「秘書経験があるか」といったスキル面を確認することはもちろん重要です。
しかし、それだけでは十分ではありません。
在宅で長く活躍してもらうためには、
「経営者と直接コミュニケーションを取りながら仕事をすることに抵抗がないか」
という点も重要なポイントになります。
経営者とスタッフでは、仕事を見る視点が違います。
経営者は会社全体を見ていますが、スタッフはまず自分が担当する業務を見ています。
経営者にとっては「会社として今必要なこと」であっても、スタッフにとっては「今まで経験したことのない仕事」であることもあります。
だからこそ、採用の段階から、
- どのような仕事をお願いするのか
- どの程度の裁量を持ってもらうのか
- 社長や経営層とどのくらい直接やり取りするのか
- 業務上、柔軟な対応がどの程度求められるのか
といったことを面談時に具体的に伝えておくことが大切です。
「秘書希望なのだから、これくらいは分かるだろう」
「社会人経験があるから、これくらいは対応できるだろう」
と推測で判断してしまうのではなく、実際の仕事の進め方まで具体的に伝えた上で、お互いの認識を合わせることが、採用後のミスマッチを防ぐことにつながります。
採用後にも「確認する仕組み」が必要です
採用時にしっかり説明すれば、それですべて解決するわけではありません。
実際に仕事を始めてみると、
「思っていたより社長とのやり取りが多かった」
「この業務は自分の想定していた範囲を超えていた」
「もう少し相談してから進めたかった」
など、新たに分かることもあります。
そのため、リモート人材を長く活用するためには、採用後の様子を確認する仕組みが非常に重要です。
特に在宅勤務では、オフィスで働くスタッフのように、表情や雰囲気から「ちょっと困っているな」と気づくことが難しくなるため、
「最近どうですか?」
と定期的に確認するだけでも意味があります。
「仕事で困っていることはありませんか?」
「業務量は多すぎませんか?」
「指示の出し方で分かりにくいところはありませんか?」
「もっとこうしたほうが仕事がしやすい、ということはありませんか?」
こうした確認を定期的に行うことで、小さな違和感の段階で問題を発見できます。
大きなトラブルになってから対応するのではなく、小さな行き違いを早めに見つけて調整することが、在宅人材の定着につながります。
私たちが「採用して終わり」にしない理由
当社は、これまで多くの企業と在宅秘書との間に入り、採用から実際の業務開始後まで、双方のご相談を受けてきました。
その中で強く感じるのは、在宅人材の活用では、「誰を採用するか」と同じくらい「採用後にどう関係を築くか」が重要だということです。
企業様からご相談を受けることもあれば、秘書さんからご相談を受けることもあります。
企業様から見ると「特に問題はない」と思っていることが、秘書さん側では「少し気になっている」ということもあります。
逆に、秘書さん側が「迷惑をかけたくない」と思って言えずにいることが、企業様からすると「何も問題なく進んでいる」ように見えていることもあります。
こうした小さな認識のズレは、時間が経つほど大きくなってしまうことがあります。
そのような状況を少しでも防ぐため、私たちは採用時のマッチングだけではなく、実際に仕事が始まった後の様子にも目を向けています。
「企業様と在宅秘書さんが、長く気持ちよく仕事を続けられているか」
「困りごとや行き違いが起きていないか」
「双方が遠慮して言えずにいることはないか」
そうしたことを確認しながら、必要に応じて間に入って調整することも、私たちの大切な役割だと考えています。
良い関係をつくるために、あえて「雑談」も大切に
もう一つ、私たちが企業の皆さまにおすすめしているのが、業務上の話だけではなく、時には少し雑談をすることです。
在宅勤務では、仕事に必要な連絡だけで一日が終わることも珍しくありません。
しかし、相手の人柄や考え方、仕事に対する価値観などを少しでも知ることができれば、コミュニケーションはずっと取りやすくなります。
例えば、
「最近忙しいですか?」
「今こんな仕事をしています」
「この前こんなことがあって……」
といった何気ない会話から、相手の状況を知ることができます。
経営者とスタッフが、お互いのバックグラウンドを少し知る。
それだけでも、「なぜこの人はこう考えるのだろう?」という疑問が、「そういう経験があるから、こう感じるのかもしれない」と理解に変わることがあります。
リモート人材の採用で大切なのは「採用すること」だけではない
人手不足を解消するために、新しい人材を採用する。
これはもちろん大切な第一歩です。
しかし、本当に企業の力になるのは、採用した人材がその後も安心して働き、経験を積みながら、長く活躍してくれることではないでしょうか。
そのためには、
- 自社に合う人材を採用すること
- 仕事の進め方や期待することを具体的に伝えること
- 経営者とスタッフの認識の違いを理解すること
- 採用後も定期的に状況を確認すること
この4つが重要になります。
特に在宅という環境では、オフィスで顔を合わせる働き方以上に、「相手の様子を確認する」「小さな違和感を見逃さない」という視点が欠かせません。
当社は、数多くの在宅秘書の採用・活用に関わる中で、企業と在宅秘書の双方からさまざまな声を聞いてきました。
これまでの経験をもとに、単に「人を紹介する」のではなく、採用後も企業と在宅秘書が良い関係を築きながら、長く活躍できる環境をつくることを大切にしています。
「人手不足を解消したいけれど、在宅の人材を採用するのは初めて」
「採用した後、リモート環境でどのように仕事を任せればよいのか分からない」
「せっかく採用するなら、在宅でも長く活躍してもらいたい」
そんな企業様にこそ、在宅秘書という選択肢を知っていただきたいと考えています。
人を採用することは、企業にとって大きな決断です。
だからこそ、採用の瞬間だけではなく、その人が実際に働き始めた後まで見据えた人材活用を。
私たちは、企業と在宅で働く人の双方を知る立場から、その橋渡しをしていきたいと考えています。

