リモートワークにおけるマネジメントの課題とは?解決のキーワードは「可視化」

コロナ禍をきっかけに、在宅勤務を試行したり、本格導入した企業が急激に増加しました。
感染状況が収まらない現状を鑑みても、一度定着した制度は、今後も継続される可能性が高いと思われます。

しかし、リモートワーク実施した結果、さまざまな問題が発生し、解決するべき課題も多いと感じたこともあるのではないでしょうか。

当社でも、在宅秘書の導入によりリモートワークを初めて実施したというクライアント企業様から、そのようなご相談を受けることがあります。

中でも

  • 日々のコミュニケーション
  • 勤怠管理(労働時間や健康の管理)
  • 評価制度

の3点は、リモートワークのスムーズな普及を阻む課題とされるケースが多いようです。

このようなマネジメントの課題は、どのように解決していけばよいのでしょうか。

1.日々のコミュニケーション

内閣府の調査によると、コロナ禍によりテレワークを実施した人が感じる「テレワークのデメリット」では、コミュニケーションに関する内容が上位を独占していました。

出典:内閣府「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(2021年11月)

実際、クライアント企業様から当社へ寄せられるご相談でも

  • お互いの顔の表情や、たたずまいなどの非言語情報が不足しており、感情を把握しづらい
  • 相手の現在の状況を推測しづらい
  • 文字中心のコミュニケーションが煩わしい
  • スタッフにより業務時間が異なる場合があり、コミュニケーションのタイミングを計りづらい

など、上司・部下の立場を問わず、リモートワークをする上での具体的な悩みが寄せられます。

組織で仕事をするためには、各自の進捗報告や情報共有は欠かせません。リモートワークでそれらを実現するには、ツールとルールでお互いの状況を「見える化」することが大切になります。

コミュニケーションに有効な、具体的なツールとしては

WEB会議システム(Zoom、Microsoft Teams、Google Meetなど)
チャットツール(Chatwork、Slack、Microsoft Teamsなど)

などがあげられます。
これらのツールをもとに、社内の使用ルールを定め、自発的な発信を促すようにすると(「自発的に発信する」ことがポイントです!)、お互いの状況が想像できるようになり、円滑なコミュニケーションも可能になります。

その他、リモートデスクトップや、スケジュールアプリなども必要に応じて活用すると良いでしょう。

2.勤怠管理(時間管理・健康管理)

自身のタイミングで業務ができるのは、リモートワークの大きなメリットですが、同時にデメリットにもなり得ます。

リモートワークは、上司の目の届かない場所で仕事をするため、つい「部下が仕事をサボるのではないか」という点にばかり目が行きがちです。
しかし、懸念すべきなのは、実はそこではありません。

問題なのは、自宅に一人という緊張感を保ちにくい状況にあるため、上司の指示が曖昧な場合、ダラダラと時間を消費する傾向があるということです。
各自の自己管理だけに頼ってしまうと、結果的にオーバーワークになる可能性も高くなります。

そうならないためには、スケジュール管理ツール(例えばGoogleカレンダー、Outlook、その他グループウェア)などを使い、各自の業務時間数や時間帯を可視化し、社内全体で共有することが不可欠です。

また、スケジュール管理ツールを利用すると、業務時間だけでなく、業務内容も共有することができます。
その日に誰が何をするのか、全員があらかじめ視覚的に周知させることは、社内の情報共有はもちろん、「言ったからにはきちんとやらなくては」とう自身へのプレッシャーという意味でも、大変効果的です。

さらに、自己申告した業務内容が不明瞭であったり、業務時間とのバランスが合わないと感じられる社員がいれば、個別に状況を確認したり、指導するといった柔軟な対応も可能です。

このように、ツールの運用もしっかり決めて、実態に即して状況が把握できるような仕組み化が必要でしょう。

3.評価制度

部下の行動を直接目にすることができないリモートワークにおいて、仕事ぶりをどう評価するのか?
人事評価が難しいと感じている企業も多いのではないかと思います。

当然ながら、出社時とまったく同じ基準では、正しい評価は困難かもしれません。
在宅勤務の特性を考慮し、リモートワーク時に適用される就業規則や評価制度などの整備が必要かと思われます。

しかし、それはそれとして、日々の各自の様子が可視化されていれば、リモートワークであっても評価はしやすいはずです。

前述したように、日々のタスクや目標、進捗すべてを可視化すると、今誰が何をしているのか、様々な情報が把握できるようになります。
アウトプットした結果だけでなく、チャットなどのコミュニケーションを通じて、業務を進める過程での貢献度なども把握できるため、むしろ細やかな評価ができるとも言えます。

もしかすると、そのような「リモートワークならではの評価基準」により、これまでに持っていた部下のイメージががらりと変わったり、予想に反して評価が上がった(下がった)といった結果につながることもあるかもしれません。

今までとは違った視点で、社員の働きぶりや会社への貢献度を確認することができるのではないかと思います。